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心房細動だから抗凝固療法?

[2025.10.02]

心房細動の問題点は脈が速くなったり(頻脈)や遅くなったり(徐脈)、また心臓内で血栓が形成され全身に飛んでいき脳梗塞を起こすことです。脈拍がバラバラに打っていることは診察でもわかります。

 

昔、バラバラに打っている心臓の拍動を抗不整脈薬で元に戻す治療(リズム・コントロール)と、心房細動はそのままに脈拍数だけを薬でコントロールする(レート・コントロール)を比較する研究が行われました。当然、薬で心房細動を治療するリズム・コントロールの方が、死亡率が改善すると考えられていました。しかし結果は抗不整脈薬を使用(リズム・コントロール)したほうが、死亡率が高いという結果が出ました。

 

その為、今では抗不整脈薬の使用頻度が減り、脈拍を押さえる薬と抗凝固薬を使用するようになりました。不快な自覚症状が持続する場合や薬でのコントロールが難しい場合は、カテーテルアブレーションで治療されることもあります。

 

さて、心房細動の患者さんは全員、抗凝固療法を行ったほうが良いのでしょうか?

 

心房細動の患者さんで将来の脳卒中発症を予測するための評価方法としてCHA2DS2-VAScという指標があります。また、抗凝固療法の適応を考えるための出血リスクを評価する指標にHAS-BLEDという指標があります。いずれも点数でリスクを評価します。

 

抗凝固療法(血液サラサラの薬)を服用すれば脳卒中発症はどれくらい抑えられるのでしょうか? 

CHA2DS2-VAScが1点で予防治療しなければ年間脳卒中発症riskは0.6%だそうです。1000人に6人です。

CHA2DS2-VAScが2点で予防治療しなければ年間脳卒中発症riskは2.2%だそうです。1000人に22人です。

CHA2DS2-VAScが3点で予防治療しなければ年間脳卒中発症riskは3.2%だそうです。1000人に32人です。

 

CHA2DS2-VAScによる層別化はされていませんがアピキサバン(抗凝固薬)を服用すれば、全体で脳卒中発症は1000人中12人になるそうです。ワーファリンだと1000人中16人だそうです。

 

薬の適応は服用することでどれくらい脳卒中予防効果があるのか? 出血リスクはどれくらい上がるのか? そもそも自分で薬を管理できるのか? コストはどれくらいか? 患者さんの意向は?などに基づいて決定されます。

 

エビデンスの使い方を理解していれば循環器内科専門医でなくてもこれらを考えることは可能です。そもそも医療過疎地域に循環器内科専門医などいません。

 

プライマリケアの内科医としてはどの様な場合に循環器内科専門医に紹介すべきかを知っておく必要があります。これがspecialistとgeneralistのすみわけです。

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