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ニキビ菌とペースメーカー感染

[2025.10.08]

以前、病院勤務の時に経験した患者さんです。

 

ペースメーカーを留置されている80歳女性が意識の変容で来院されました。普段の活動度は自立しており認知レベルも年齢相応です。1週間で徐々に意識障害が出現しており歩行困難となりました。

 

発熱はありません。頭のCTやMRIで異常はありませんでした。電解質異常もなく内分泌検査も異常ありませんでした。腰椎穿刺を行い髄液も検査しましたが異常ありませんでした。血液検査では全身の炎症の程度を示すC-reactive protein(CRP)が8mg/dl程度に上昇していました。

 

血液の中の細菌検査(血液培養検査)で好気性と嫌気性ボトル4本を検査に提出したのですが、このうち1本でPropionibacterium acnesが陽性となりました。Propionibacterium acnesは健康な人の皮膚にも常在している菌です。名前の通りニキビとの関連も考えられています。

 

血液培養検査で細菌が検出されたときに本当の感染症なのか採血時の汚染菌(contamination)を見ているのかを考えないといけません。汚染菌は感染症ではないので治療不要です。さてPropionibacterium acnesが今回の意識の変容と関連があるのか非常に悩みました。4本中1本しか菌を検出していないため真の感染かの判断がとても難しいです。このような場合さらに何回か血液培養の検査を繰り返し同じ細菌が検出されれば真の感染症として扱うこととなります。

 

ペースメーカーのリードが感染した場合、リードの交換が基本的には必要ですが心臓に植え込まれたリードを交換することは非常に難しいです。現在ではエキシマレーザーを使用して交換する方法があるようですが意識変容との関連は確定していないため治療して良くなるかどうかでしか判断できません。

 

過去の症例報告などの論文を読むとPropionibacterium acnesとペースメーカーリード感染の報告がいくつか見つかりました。やはりこの場合はリードを交換したほうが良いのだと思います。

 

Case Rep Infect Dis. 2020 Jul 25:2020:8883907.

 doi: 10.1155/2020/8883907.

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