医者の葛藤
以前、病院で勤務していたころの患者さんです。
101歳女性の脳梗塞患者さんが入院となりました。
入院前は施設に入所され覚醒状態が良好で、車いす生活です。認知症は中等度から高度あり、簡単な会話のみです。
前日の夕方から意識レベルが低下していましたが、過去にも失神が数回あり自然回復していたので経過を見られていました。朝になっても改善認めないため施設の車で来院されました。頭部CTでは小脳に新たな脳梗塞を認めます。
さて101歳の患者さんです。認知症があり医学介入の説明に対し了解してもらえません。活動度も車いすでの生活です。
残念ながら高度医療による治療介入はできません。「病気を見つけて治療する」ことは医者の仕事の重要な部分です。しかし残念ながらこの患者さんには積極的な治療介入ができる状態ではありません。
次に考えるのは「どのように人生の最終段階を迎えていただくのが本人にとっての最善なのか」です。意識状態が悪いので栄養摂取ができません。このまま自然に衰弱して看取るのが良いのか延命の介入を行うのか?
職業柄、意思疎通がとれず関節が拘縮し(固まり)、ベッド上で寝たきり。それでも胃瘻から栄養が投与され心臓だけは動き続けている高齢患者さんをたくさん診てきました。決して本人にとって最善の人生の閉じ方につながっていないのではないかと葛藤が生まれます。医者の自己満足や家族の満足のために本人が苦しむ(かもしれない)医療は避けたいものです。
この患者さんはご家族と相談し延命のための栄養管理は行わず自然に看取る方針となりました。会話はできないので表情を読み取りながら苦痛が無いか判断し緩和ケアに努めます。
