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入院したら安心?

[2025.09.06]

よく高齢者のご家族から「入院したら安心」という言葉を聞きます。これは間違いです。

 

年末年始の当直の時、101歳の高齢者をインフルエンザ感染と診断しました。水分摂取はできています。活動度は自宅内伝い歩きで妻、長男の3人暮らしです。認知機能は保たれており、会話は可能です。体温は37.5℃です。発熱のためいつもよりは活動度が低下しています。

 

ご家族は「入院したほうが安心だから入院させてほしい」と言います。

 

医者が入院適応を考えるとき①医学的適応 ②社会的適応を分けて考えています。

「医学的適応」とは点滴が必要、酸素が必要、高度医療が必要など医学的側面からの入院判断を考えます。「社会的適応」とは上記の医学的適応はないけれど独居、老々介護などの自宅での生活困難かどうかで考えます。ご家族はこの2つを一緒に考えてしまいます。

 

冒頭の101歳のインフルエンザ患者さんは、医学的適応はありません。ご家族から「介護が大変なので・・・」という本音が聞こえてきます。入院するとすれば「社会的適応」です。確かに家族の負担を取るという意味では社会的適応を考えるときはあります。本人はなるべく入院したくないと言っています。

 

ただし社会的適応で入院とするときは予め、どうなったら退院するかということを家族と約束しておきます。病院と介護施設の違いが理解できていないと「介護が楽だからこのまま入院を継続させてほしい」と後から言ってくることがあるからです。病院は介護施設ではないので治療が不要な患者の長期入院はできません。その為、入院時に退院の目標を決めておくのです。

 

しかし高齢者が入院すると

・活動度の低下

・せん妄(認知機能の急激な低下)

が発生する確率が高いです。年末年始は病院も最低限の人員で稼働しています。理学療法士も年末年始はお休みのためリハビリテーションはできません。高齢者は2-3日ベッドで寝たままになるとたちまち活動度が低下します。そしてリハビリへの意欲がなくなればもう元には戻りません。またせん妄→転倒→骨折→寝たきりの可能性も高くなります。

 

ご家族に「活動度の低下」と「せん妄→転倒」のリスクを説明します。「入院したら安全・安心ではありませんよ」と伝えておきます。ここで、先ほどまで入院希望の強かった家族の態度が変わりました。「活動度が低下しては困る」と考えています。

 

私は家族に「毎日外来に来ていただき点滴をして、いよいよ医学的適応で必要となれば入院とする。しかし現時点での社会的入院は控えるのはどうでしょう?」と提案しました。

ご家族からすればいよいよ悪くなった時に入院できるという言質がとれているので安心だとは思います。ご家族もこれに同意しました。

 

翌日解熱し、食事摂取ができているのでもう入院の必要がなくなりました。医者は高齢者が入院することはリスクが高いと考えています。

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